(見方💡)
コスパ : 価格に対しての満足度
情報量 : ページ数や載ってる専門情報量(物理量)
最新/唯一性 : 他の本には載ってない様な新しさがあるか?
載ってる情報そのものが古くないか?
読みやすさ : 本の構成やデザインが見やすいか?(写真・図・表)
わかりやすさ : 頭に入りやすい内容か?
概要
『空気調和「超」入門』の題しているだけあって、
空調技術者の方全員に読んでいただきたい
”根幹となる知識”が凝縮した内容となっています。
著者の方は 『100万人の空気調和』(1975) の執筆者の1人ということで
大変多くの人に読まれてきた『100万人の空気調和』(累計10万部超え) を
”現代版に展望”することを考えて”ゼロから書き直した”と記されています。
『現代版 100万人の空気調和』
といってもいいかもしれません。
著者の強い思いも伝わってくる、渾身の大改訂版です。
本の構成
本書は前半が、[基礎知識]編の内容となり、
「そもそも空気とは?熱とは?」「空調の歴史とは」といった事が説明されています。
後半部分は、[実践編]の内容となり「空調システム・特性」について、例題・演習の計算や
計算に使用する「表・グラフ」が随所に掲載されている構成となっています。
1. 空調理論の確立前夜 1. 空調を理解するために 2. 大気の地球史と空調関係史 3. SI単位 4. 「空気調和の父」キャリア博士 2. 空調の基礎知識 1. 空気とは 2. 温度と熱とは 3. 空気の状態量とは 4. 熱の移動とは 5. 空気線図とは 3. 空調システム 1. 空調システムのアウトライン 2. 空気線図の基本変化 3. ゾーニング 4. 冷凍サイクル 5. 自動制御・中央管制 6. 搬送系システム 7. ダクト・ファンシステム 8. 配管・ポンプシステム 9. 防音・防振システム 4. システムの特性と最適化 1. 空調システムの大分類 2. 全空気システム 3. 空気・水システム 4. 空気・冷媒システム 5. 空調システムの選定と最適化 5. 熱源システム 1. 熱源システムの見方 2. 熱源システムの分類 3. 熱源システムの動向
良かった点
空気調和分野の”技術的体系を基本から学べる” そこが一番いいところだと思います。
「読みやすさ」は、 ☆☆☆☆4点と高評価としました。
随所に「図・表・写真・計算事例」が入っており、フォントの使い分けも見やすい内容でした。
良かった点 ① 「空気・熱・空調の仕組みとは?」を原理・原則、基礎から学べる ② この1冊に広い分野の”基礎知識”が凝縮されている ③ 図・表・写真・フォント見やすい工夫が随所にあり見やすい構成
いまいちだった点
「最新/唯一性」は ☆☆2点としました、理由は他書に載っている情報の集約本となるため、
”この本を読まないと分からない” 情報はあまり無いためです。
ただ、1冊もっておけば手っ取り早く、広く学べる点ではメリットです。
「わかりやすさ」 ☆☆2点とした理由を説明します。
タイトルが”超入門”なので、「誰もが簡単に理解できる入門書だ」と思ってしまうと
”専門知識がギッシリ詰まり過ぎて、内容も難しい” と感想をもってしまうかもしれません。
正直言ってしまうと、この本の内容をしらなくても、
ある程度、”仕事は出来てしまう”でしょう。
「1+1=2」 だと、特にその理由や背景・歴史について知らなくても算数はできるのと同じ感覚。
理論・原則を集約している本なので、1朝1夕で全てを理解するのは中々難しいと感じました。
ただし、基本をしっかり抑えておけば応用も効くし、空調システムについての理解も
深まるので、少しずつ読み込んでいくのがオススメだと思います。
いまいちだった点 ① 入門書ではあるけど、原理・原則の情報量がギッシリ詰まってるので なかなか全部をすぐに理解するのは難しい ② 最近の入門書籍は、フルカラー・電子書籍版 対応が多いので、 本書もそこに対応しているともっと良かった
まとめ
『現代版 100万人の空気調和』に値する、空気調和の基本を学べる教科書でした。
とても見やすい構成ではあるのですが、
空調の技術体系をギッシリつめこんだ書籍なので、
1回で全てを理解するには、量も難易度もとても高いです。
1年目、2~3年目、5~10年目、と各成長段階(フェーズ)で振り返って読むと、
内容が頭に染みこんでいいのかなと思いました。
感想と独り言
「エネルギー保存の法則」「ウェーバー・フェヒナーの法則」
「ダルシーワイスバッハの式」「ダルトンの分圧の法則」
「ニュートンの冷却の法則」「ベルヌーイの定理」「フーリエの法則」「モリエル線図」
全部、理解してますか?説明できますか? と言われたら正直、自信は無いですね。
ただし、こういった原理・原則について
専門技術者としては、やっぱり”知っているべき知識”だと思いますし、
それがベースとなって応用の技術があることは忘れてはいけない、とも思うところです。
少し偏った感想になってしまいましたが、本書の内容は”原理・原則だけ”では無いので
基本から丁寧に解説した教科書として、あまり構えずにいろんな人に手に取って頂きたいです。