タイトル : 図解 建築と設備の接点 トラブル予防のツボ
著者 : 日本建築協会[企画] 仲本尚志・馬渡勝昭・赤澤正治[著]
出版社 : 学芸出版社
発売年月 : 2018年10月30日
定価金額 : 2,800円+税
コスパ : ★ ★ ☆ ☆ ☆
情報量 : ★ ★ ★ ☆ ☆
最新/唯一性 : ★ ★ ★ ★ ★
読みやすさ : ★ ★ ☆ ☆ ☆
わかりやすさ: ★ ★ ★ ☆ ☆
(見方💡)
コスパ : 価格に対しての満足度
情報量 : ページ数や載ってる専門情報量(物理量)
最新/唯一性 : 他の本には載ってない様な新しさがあるか?
載ってる情報そのものが古くないか?
読みやすさ : 本の構成やデザインが見やすいか?(写真・図・表)
わかりやすさ : 頭に入りやすい内容か?
概要

チームワークによる「ものづくり」
本書冒頭に説明がある1文です、建築は”技術者の協同”が欠かせません。
しかし、そうすると自ずと出てくる問題は「いかにミスなく連携をとるか」が重要となってきます。
騒音・振動・漏水・結露・臭気・メンテしにくい・・・。
様々な問題につながりやすい建築と設備の「接点」(取り合い)を
建物ライフサイクル・建築部位別に一覧し、トラブル予防の方法を設備別に
イラストで詳細に図解しています。
建築と設備との「融合」を目指す建築設計・施工管理技術者必携の一冊です
本の構成
前半は、建築と設備の接点となる”ポイント”を解説。
どういったところが”接点”(取り合い)になるか、
なぜ?何を?気をつけたらいいか? などが書いてあります。
後半は、具体的な事例紹介で”100項目” 掲載されており
本書のメイン記事となっています。
第1部 建築と設備の接点はここだ 1. 建築と設備の接点とは「取り合い」 2. 建物のライフサイクルでの接点 2.1 計画段階での接点 ・設備仕様・グレードの設定 2.2 設計段階での接点 ・立地条件 ・関連法規 ・設備機器の防音・防振対策 ・設備機器の耐震性能 ・建物の構造耐力 ・工事区分 2.3 施工段階での接点 ・現地調査 ・設備機器搬入計画 ・総合図作成 ・BIMの活用 2.4 維持保全段階での接点 ・接地 ・地下壁貫通部の止水対策(インフラの引込み、免震継手) ・各種地下水槽(蓄熱槽、汚水槽、消火水槽) 3. 建築部位との接点 3.1 躯体関連との接点 ・外壁への設備配管打込み ・各種貫通部の処理(床や壁、防火区画貫通部、防水層貫通部) ・設備機器の振動・騒音対策、機械基礎の耐震性 ・シャフトの納まり ・屋上防水層貫通部の止水対策(ハト小屋、通気管) ・屋上防水と機械基礎 ・避雷突針、アンテナ、ゴンドラの受信障害等 3.2 仕上げ関連との接点 ・天井(点検口、照明計画、換気口) ・壁(遮音間仕切り壁、器具取付け、防湿・防熱仕様・ガラリ) ・床(配線ピット、床排水計画、防振仕様・浮基礎) 3.3 昇降設備との接点 ・エレベーターの関連工事 ・エスカレーターの安全対策 3.4 外構関連との接点 ・インフラの引込み(地中壁貫通壁の防水処理) ・排水の公共下水道への接続 ・埋設配管の地盤沈下対策 4. 品質トラブル予防措置 第2部 トラブル予防のツボ100 1. 設備全般での接点 (29項目) 2. 電気設備との接点 (11項目) 3. 空調設備との接点 (31項目) 4. 給排水設備との接点 (9項目) 5. ガス設備との接点 (2項目) 6. 防災設備との接点 (10項目) 7. 昇降設備との接点 (8項目) 附表 トラブル種別・予防のツボ一覧
良かった点
「最新/唯一性」は ☆☆☆☆☆ 5点満点と高評価としました。
専門分野同士の”接点”の本は、かなり珍しく貴重な文献だと思います。
だいたいは、会社内の社外秘資料となっているか、
雑誌や書籍でもコラムとして少し載っている程度ではないでしょうか。
<良かった点> ① 建築の”品質面”に直結する、建築と設備の”接点”にフォーカスした専門書 ② 建築担当も設備担当も、”どちらがみても”勉強になる ③ 区分表・チェック表・取り合い図によって理解しやすい構成
いまいちだった点
「コスパ」「読みやすさ」は残念ながら ☆☆ 2点としました。
少し自分が求めていた理想像と違っていたのと、もう少し見やすい工夫が欲しかったです。
<いまいちだった点> ① 具体的な施工区分説明というより、お互いの“注意点紹介”がメイン ② イラストが手書きタッチなので少し見づらいと感じてしまう ③ どちらかというと“建築設計担当”に読んで欲しい (設備を知ってほしい)内容の方が多い印象
まとめ
建築と設備の接点にフォーカスした、類似本がなかなか無いタイプの専門書でした。
”具体例”と”イラスト”付で、100事例紹介されているのが大きな特徴となっています。
<まとめ> ① 建築の品質・トラブルに直結する、“接点トラブル例”が100項目載っている ② 建築担当・設備担当が、相互に理解しあうべき項目・注意点が為になる ③ イラスト・チェック表などで視覚的にわかりやすくレクチャーされている
感想と独り言
建築の仕事はチームワーク
だけども「必ず欲しいところにパスをくれる」訳ではありませんし
「こちらの出したパスに反応してくれないこと」もあります。
ということで、建築業界で難しいとされる事の一つが、
”他分野との取り合い”です。何が難しいかといえば、
① 相互側の設計的思考・趣向を理解しなければならない
② 自分の設計指向・趣向を相手に説明して納得してもらわなくてはいけない
③ お互い意見の元に着地点を見出さなければならない、又着地させなくてはいけない。
本書はこれらの要素の”手助け”となってくれる本のひとつだと思います。
今後はこういった『ジャンル間の橋渡しとなる本』が
もっとたくさんでてくることを期待したいところです。
今回もここまでお読みいただきありがとうございます。
興味をもった方は是非、手に取ってみてください。