タイトル : 建築設備 配管工事読本
-空調衛生設備技術者必携-
著者 : 安藤紀雄[監修]安藤紀雄・小岩井隆・堀尾佐喜夫・水上邦夫[共著]
出版社 : 日本工業出版
発売年月 : 2017年1月20日
定価金額 : 3,500円+税
コスパ : ★ ★ ★ ☆ ☆
情報量 : ★ ★ ★ ★ ☆
最新/唯一性 : ★ ★ ★ ☆ ☆
読みやすさ : ★ ★ ☆ ☆ ☆
わかりやすさ: ★ ★ ☆ ☆ ☆
(見方💡)
コスパ : 価格に対しての満足度
情報量 : ページ数や載ってる専門情報量(物理量)
最新/唯一性 : 他の本には載ってない様な新しさがあるか?
載ってる情報そのものが古くないか?
読みやすさ : 本の構成やデザインが見やすいか?(写真・図・表)
わかりやすさ : 頭に入りやすい内容か?
概要
日本工業出版が発売している「空調衛生設備技術者必携シリーズ」第2弾となります。
(第1弾は【試運転調整業務の実務知識】 )
はしがきコメントより、第2弾となる【建築設備配管工事読本】は
著者が長年にわたって雑誌などに投稿してきた配管工事に関する記事を
「各章ごとに整理して1冊の本にまとめる」ことを目的としていたそうです。
単なる一般知識だけではなく、熟練の技術者目線でコメント解説されているのが特徴です。
できるだけ読みやすくするための工夫として、
・柔らかい図および表を数多く挿入
・専門用語は【用語解説】欄を掲載
・その他にも【ちょっと一息】コーナーで身近な疑問や著者の経験談が掲載
などがあり、”読者にも配慮をした実用書”になっています。
本の構成
第1話 建築設備配管材料の雑知識 1. 配管とは? 2. 建築設備配管材料の分類 3. 金属配管材料 4. 非金属配管材料 5. 建築配管材料の将来展望 第2話 配管用炭素鋼鋼管(SGP)の接合法 1. 鋼管接合法の種類 2. ねじ接合法 3. メカニカル接合法 4. 溶接接合法 第3話 ステンレス鋼管と銅管の接合法 1. ステンレス鋼管の接合法 2. 鋼管の接合法 第4話 樹脂管の接合法 1. 硬質ポリ塩化ビニル管の接合法 2. ポリエチレン管の接合法 3. 架橋ポリエチレン管の接合法 4. ポリブテン管の接合法 第5話 「切削ねじ接合」から「転造ねじ接合」の時代へ 1. SGPの接合法の分類 2. 日本におけるねじの歴史 3. 切削ねじの基礎知識 4. 転造ねじの配管の開発小史 5. 「寄せ転造方式」と「歩み転造方式」 6. 「切削ねじ」と「転造ねじ」の比較 7. 転造ねじ配管の特色 8. ねじ加工作業とねじ締込み作業 9. 水道用ポリ粉体ライニング鋼管への 転造ねじの適用 10. 技能五輪国際大会と転造ねじの 世界中への発信 11. 国土交通省と転造ねじの認知過程 12. 転造ねじによる「薄肉鋼管」への 開発・採用に向けて 第6話 ねじ配管とそのシール法 1. ねじ配管にシール不可欠? 2. クラシックなねじ配管シール法 3. ねじ配管:液状シール剤 4. ねじ配管:テープ状シール材 5. 「液状シール剤」と「テープ状シール 材」の選択 6. 転造ねじとそのシール法 第7話 衛生設備配管の現状とライニング配管の施工法 1. 衛生設備配管と配管材料 2. 内面ライニング鋼管の種類 3. ペインティング・ライニング鋼管 ・コーティング鋼管 4. 管端防食継手の開発 5. ライニング鋼管用管端防食バルブ 6. ライニング鋼管の取扱い・保管等 7. ライニング鋼管のねじ接合法 8. ライニング鋼管と転造ねじ接合法 9. 塩ビライニング鋼管と溶接接合法 10. 多層複合管の加工および接続法
第8話 銅使用の歴史と銅管の深化知識 1. 人類と銅の歴史 2. 配管材料としての銅管の特徴 3. もっと知っておきたい:建築用銅管の 深化知識 4. ビルマルチ空調方式の登場とその冷媒 用銅管 5. 銅管用ろう接合継手 6. 銅管と異管種の接合法 7. 給水・給湯管の銅管使用占有率 第9話 排水配管工事の特徴と施工留意点 1. 排水の用途と排水の種類 2. 排水用途別排水管材料の種類 3. 排水管・継手の選定時におけるリスク マネジメント 4. 排水管と排水用継手の組合せ 5. 排水管の施工要領 第10話 建築設備用バルブ類の基礎知識 1. バルブとは? 2. バルブの基本的な構造 3. バルブ類の材料と腐食 4. バルブ類の法規・許認可と規格 5. 管・管継手とバルブの接続 6. バルブの選定 7. バルブの配管施工、試運転、運転、 保守保全 第11話 配管の漏洩・耐圧試験など 1. 配管耐圧試験の準備・方法 2. 水圧試験 3. 気圧試験 4. 満水試験 5. 通水試験 6. ドレン排水管通水試験 7. 煙試験 8. はっか試験 9. 脈動水圧試験 10. ヘリウムテスト 11. ハロゲンテスト 12. 冷媒配管の気密試験 第12話 建築設備配管の寿命と金属配管 腐食 1. 建築設備の維持管理 2. 金属材料と腐食 3. 配管局部腐食の種類 4. 配管腐食の実態 5. 各種の腐食対策 6. 空気中における腐食とその対策 7. 水中における腐食とその対策 8. 土中における腐食とその対策
良かった点
「情報量」は ☆☆☆☆ 4点と高評価としました。
”建築用 配管設備”に特化してここまで情報をまとめられている本はなかなか有りません。
個人的には、『転造ねじ』に関する記述が特に貴重で興味深い内容でした。
<良かった点> ① ”経験豊富な技術者の視点”で、配管材料に関する知識が集約 ② 専門用語,コラム,イラストが多数挿入されている ③ 建築設備工事で使用される殆どの配管種をカバーしている
いまいちだった点
「見やすさ」「わかりやすさ」は ☆☆ 2点としました。
同シリーズ共通する部分もありますが、モノクロでカラー写真が無く
特徴的な手書きタッチイラストがメインとなっています。
わかりやすい部分もあれば、写真や精密なタッチイラストの方が良かった部分もあり
一長一短だったかなと個人的な感想をもちました。
特に配管材は、”色”や”質感”も管種ごとに違うのでそのあたりが確認できた方が
より親切ではないかと、感じました。
<いまいちだった点> ① 配管材料と工事に特化しているので、 『配管のシステム・設計的内容』はあまり無い ② 情報量は多いものの、1つ1つの専門知識情報は他書に 載っているものが多い ③ 『将来展望』『現状』の解説もあるが、 どちらかといえば、今までの歴史・背景が中心となっているイメージ
まとめ
建築設備の配管工事の知識を1冊に集約した技術者必携の読本でした。
もし手にとって気に入られた方は、同シリーズで他の書籍も是非おすすめです。
<まとめ> ① 建築設備の配管工事に特化した、情報集約本(材料と施工メイン) ② 専門用語解説,コラム,イラストが豊富で見やすさ配慮 ③ 正直、この本でしか知り得ない最新情報は少ない。 (配管の歴史・背景などを知るには最適)
感想と独り言
正直な感想としては、「期待値が高すぎて、満足度は低め」でした。
別記事で紹介していますが、配管工事に特化した他書籍と比べてしまうと
情報量は多いものの、少し古い情報や知らなくても特別問題ないと
感じるところが多い印象でした。
その理由としては、最近の配管工事の傾向として
そこまで配管種がバラバラになることはなく、
ある程度パターンが決まっているからです。
(「ビニル管・ポリエチレン管の普及」が大きい)
もちろん知っておいて損はないですし、マニアックな経験談も掲載されていますので
配管工事をより深く理解するためには、良書になり得ると思います。
唯一の評価ポイントとしては、
「転造ねじ」について、他書にはあまりない情報が多かったところです。
ただ、ねじ管は本当に減ってきているので今後はどうなるか分かりませんね。
辛口な感想かもしれませんが、受け取り方は人それぞれですので
興味をもった方は是非、手に取ってみてください。