<書籍>環境のヒューマンファクターデザイン(日本建築学会)

建築設備の専門書
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書籍基本データ

タイトル: 環境のヒューマンファクターデザイン

      健康で快適な次世代省エネ建築へ

著者  : 日本建築学会[編]

出版社 : 井上書院

発売年月 : 2020年9月10日

定価金額 : 2,700円+税

コスパ  : ★ ★ ★ ★ ☆

情報量  : ★ ★ ★ ☆ ☆

最新/唯一性: ★ ★ ★ ★ ★

読みやすさ: ★ ★ ★ ★ ★

わかりやすさ:★ ★ ★ ★ ★

 (見方💡)
 コスパ    : 価格に対しての満足度
 情報量    : ページ数や載ってる専門情報量(物理量)
 最新/唯一性 : 他の本には載ってない様な新しさがあるか?
           載ってる情報そのものが古くないか?
 読みやすさ   :  本の構成やデザインが見やすいか?(写真・図・表)
 分かりやすさ :  頭に入りやすい内容か?

概要

 

<br>

“ヒューマンファクター環境デザイン”  ってなに?

本書では、「人の行動特性や生理的・心理的特性を考慮した環境構築手法」
と表現しています。

それってなに? という感じですが、これからの環境設備計画で
”重要用語”となる言葉だと思います。

本書では、もともと「ヒューマンファクター」という古くからある用語を、
建築設備の分野で 初めて”定義・解説・建物事例紹介” をした書籍です。


本の構成

本書は、序章で「ヒューマンファクター」とは何か? どういった背景のもと生まれた?

などを建築事例や最近の建築業界の流行(ZEB、CASBEE)を踏まえて紹介されています。

中盤では、「居住者の快適性」について、改めて学習できるような構成となっています。

例えば、”PMV(予測平均温冷感申告)””新有効温度ET”など、

1度は聞いたことがある用語もでてきます。

後半では、ヒューマンファクターデザインを意図する最先端の環境技術・省エネ技術を

建築事例とともに紹介しています。

 序  ヒューマンファクター建築事例
 1章 ヒューマンファクター建築のすすめ
    1. 設備設計論の変革
    2. ヒューマンファクタデザインのすすめ
 2章 ヒューマンファクター建築と社会的背景
    1. 環境共生・省エネのニーズ
    2. 居住者の健康性への関心・働き方改革へのシフト
    3. SDGsと建築・設備
 3章 古くて新しいヒューマンファクター
    1. 暮らしの中の環境選択
    2. 快適感・温熱感指標とヒューマンファクター
    3. パーソナル空調とヒューマンファクター
 4章 人間の行動を考える
    1. 変動する環境と快適感・温冷感
    2. クレームの瞬間をとらえる
    3. オフィスにおける執務者の実態
    4. オフィスの新しい温熱環境評価
    5. 人間の行動
 5章 ヒューマンファクターの要素技術
    1. 環境選択行動を促す技術
    2. 装置技術-熱・空気・音・光など環境をつくる技術
    3. 制御・センシング技術 

良かった点

「最新/唯一性」「読みやすさ」「わかりやすさ」を☆☆☆☆☆5点満点としました。

評価は私の感じたままですが、満点の理由を説明します。

<最新/唯一性> 「ヒューマンファクターデザイン 唯一の解説本」

         「IoT・ZEB・AI 最先端の省エネ技術の紹介本」

         この2点で大きく評価をしました。

<読みやすさ> 「フルカラーの写真・表がたくさん掲載!」

        「ハンドブックサイズで持ち運びしやすい!」

        専門書の中では珍しく、受験勉強の参考書のように、

        本文の脇に並列して、図・写真・コラムが並んでいます。

        専門書は、「高い・でかい・重い・見づらい」の4拍子が揃うことが

        本書は「小さい・軽い・見やすい」が特徴で良かったです。


<わかりやすさ> 「人間工学にもとづいた評価・紹介が多い」

         「昔からある専門用語も分かりやすく解説」

         テーマが”居住者の快適性”なので、自分がどういった環境で心地よいか、

         また、どういった環境が心地悪いかを、少しイメージして重ねられるので

         経験や体感記憶をもとに理解しやすいと思います。

 良かった点
 ① 手に取りやすい本サイズ
 ② フルカラー写真・図・表を多い 
 ③ 見やすく構成された文章、共感・イメージしやすいテーマ 

いまいちだった点

「情報量」が ☆☆ 2点 で少し低評価としました。

<情報量> 「コンパクトかつ写真・図がたくさんなので、文字数の情報は少なめ」

       裏を返せばいいところなのですが、ガッツリ理論を勉強したい!

       といった方には物足りないかもしれません。

       流し読みしちゃうとあっという間に読み終わってしまいます。

それと、評価項目にはありませんが、しいて挙げるならば、こういった最新事例/技術をメインにした紹介本は、年月が経つとどうしても古い情報になってしまうため、常に最新情報を追っていく必要はあるかもしれません。

いまいちだった点
 ① 写真・図は多いが、細かい文章解説は少なめ
 ② 最新事例本なので、5~10年先では古い情報になるかもしれない

まとめ

”ヒューマンファクターデザイン”という新しい概念を解説・事例紹介しているガイドブックでした。

日本建築学会からの出版ということで、「内容がしっかりしている」だけでは無く、
専門書としてかなり「読みやすい」というのが個人的に大きく評価したいポイントです。

これから建物を計画・設計する上での”ヒント”にもなり得るので、

”若手・ベテラン問わず”におすすめしたい書籍でした。

まとめ

① ヒューマンファクターデザイン 唯一の解説本

② IoT・ZEB・AI 最先端の省エネ技術が紹介

③ コンパクトサイズで、フルカラー写真・図たくさんで読みやすい

感想と独り言

本書の背景として

「省エネにするだけでいいの?」

「省エネと快適性との両立はどうすればいいの?」

という大きなテーマがあります。

地球サミットや大震災直後から、世の中では「省エネ省エネ!クールビズ28℃!」と、

作りて側も維持管理側も省エネ至上主義に。

つまりは、「省エネを多くした建物が偉い」という風潮になってきました。

その動きはもちろん今も健在で、建物を新築するときは一定基準以上の

省エネ性能をクリアする「省エネ法」という法律に準拠しなくてはいけません。

法律以外にも、「ZEB(net Zero Energy Building )」
という、環境設備業界の新しい”省エネブランド”も過熱化してきています。

「省エネ法」「ZEB」が悪いという意味では全くありませんが、

本当に目指すべき環境設備設計は何だろうか? 

改めて考えさせられるきっかけとなりました。

「温熱環境」「空気環境」「光環境」「空間構成」
人間が5感で感じる環境要素を、パーソナル(各個人)毎に
さらには自然環境に合わせて、可変自動制御/選択制御をすることで、
快適性と省エネの両立を実現させる、
それが“ヒューマンファクター環境デザイン”なのかなと私は解釈しました。

気になる方はぜひ手にとってみてください!

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